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気候変動と防災・BCP~豪雨災害時期を迎える前に~ | KKEの 企業防災・BCPコラム

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気候変動と防災・BCP~豪雨災害時期を迎える前に~

 昭和生まれの筆者が小学生の頃、夏休みの宿題に向き合いつつ、「今日は特に暑いなぁ」と家族で会話していたときの暑さの基準は「気温30度」を超えるか否かだったように記憶しています。しかし最近の夏では、30度では過ごしやすく感じてしまい、37度くらいになるとさすがに酷暑だなと感じるようになり、同時に海水温も上昇し、東京湾口に沖縄の県魚グルクンが出没する時代となりました。

気候変動を身近に感じるようになった現在、地球全体ではSDGsの取組みが待ったなしとなり、各企業や地方自治体にとっても、単発的な取組みではなく、これらを自社・自団体の経営戦略に取り込む形で、実効性あるものとすることが求められています。この環境の変化を受けて、防災・BCPについても「より戦略性の高い施策」へとモデルチェンジすることが必要です。

風水害に対する防災戦略の転換

これまで各企業は豪雨災害などの風水害に関する防災対策として、ハザードマップを確認し、従業員の安全確保と、施設・設備が浸水しないための対策、そして万が一浸水があった場合に早期に復旧するための準備という3つの視点で取組みを進めてきました。

もちろんこの取組み自体は正しいものですし、一定の成果をあげています。しかし気候変動が深刻化しつつある現状のなかで、風水害の発生頻度も影響度も高まり、これまでの対策のあり方が企業によっては限界を迎えつつある点も否めません。

この点は自治体においても同様で、毎年のように風水害で被災し甚大な被害を被り、復旧・復興に多大なコストを費やすことは、地域経済を疲弊させるばかりで、人口減少とも相まって地域の力をそぎ落とす結果となっています。

具体的には、企業も自治体も「被災しにくい状態」を目指して、より戦略的な対応をとる必要に迫られているということです。企業においては、浸水リスクの低い地域に自社拠点を移転することを経営戦略に織り込み、自治体においては都市計画・市街地形成のあり方を根本から見直し、少なくとも毎年被災するような地域からは戦略的にまちを移転することも検討する必要があるのではということです。

経営戦略としての防災・BCP

もちろん、このような考え方は「言うは易く行うは難し」で、すぐに予算・コストという問題に直面し、経営層は「コストがかかるから無理だ」と思い、担当者も「非現実的だ」と考えてしまいがちで、対策案の中から外してしまいます。

BCPは「事業継続計画」であり、リスクマネジメントは「組織経営そのもの」です。事業の継続や組織経営(自治体では地域経営)は、短期的視点も大切ですが、一方で中長期的視点にたって、一時的にはコストに見えるが今後30年以内のリスク顕在化をトータルで考えると、多額の費用をかけて移転を断固実行したほうが、被災し復旧することを繰り返していくことより「はるかにお得」である場合も多く存在するのです。

そのような意味では、やはり防災・BCPについては、経営層がしっかり関与し、戦略的視点特に中長期的視点を加味し、単年度の収支のみに拘泥することなく、トータルでコストとベネフィットの比較ができるような戦略構築を求めていくことが必要なのではないでしょうか。

SDGs花盛りの昨今ですが、これがまさにSDGs時代の戦略的な取組みであり、「個別戦術つぎはぎ型」の経営から、真に戦略的な経営へと転換していくための好機なのかもしれないと考える次第です。そして戦略性を高める過程で、経営企画部門(中長期計画策定部門)にも防災・BCPへの関与を求め、推進体制(リスク管理体制)を見直し、リスクシナリオを複数用意したシミュレーションを実施し、これらをステークホルダーに対して開示し説明責任を果たすことが各企業の経営者に求められています。

以上

森総合研究所 代表・首席コンサルタント 森 健

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