災害リスクコンサルティングサービス

防災における「技術」と「意識」の変化(日刊工業新聞 寄稿文) | KKEの 企業防災・BCPコラム

KKEの 企業防災・BCPコラム

防災における「技術」と「意識」の変化(日刊工業新聞 寄稿文)

日刊工業新聞「9月1日防災の日 広告特集」で当社からの寄稿文が掲載されました。日刊工業新聞様の許可を得て転載いたします。(PDF版はこちら


人工知能(AI)やデジタル・トランスフォーメーション(DX)など、目覚ましい技術革新が叫ばれるようになってきた。これらを防災に生かそうとする動きも活発化し、防災意識も変化が生じてきている。企業が取り組む事業継続計画(BCP)の分野でも従来のやり方を見直し、最先端の知見や技術を生かし、積極的かつ主体的に防災に向き合う企業が増えてきた。「技術」と「意識」と「環境」が整ってきた中で、災害に対し企業がどう対応すべきか考えてみたい。

企業の災害対応積極化 最新の知見取り込む

さまざまな評価を呼ぶ中、東京五輪が幕を閉じた。奇しくも東日本大震災から10年の節目に開催されたわけであるが、日本特有の気候により、五輪期間中も三つの台風が接近あるいは上陸した。

日本が災害大国であることは周知のことであると思う。東日本大震災後の10年間でも、主な自然災害を挙げると、震度7クラスの地震が2回、広域豪雨災害が9回、大規模な噴火活動が2回記録されている。また、熱海市伊豆山地区で発生した大規模な土石流も記憶に新しいところである。被災をされた皆さまにお見舞いを申し上げたい。

他方、日本は技術立国であるとも言われる。技術を駆使しての災害対策は、その時代時代に応じて、最先端の研究と世界トップクラスのモノづくり技術を生かして対応をしてきているが、自然を相手にすることはまだまだ容易ではない。

当社は技術コンサルティング企業であるが、BCPの一環である建物の安全対策や従業員の安全確保に関する相談を受けることが多い。その中で感じている、安心・安全に関する意識の変化について述べたいと思う。

以前は我々の建物補強策や防災対策について、企業側と議論になることは少なかった。難解な地震発生メカニズムや力学的知見を要する耐震構造のあり方などで提案合意に導くわけだが「専門家にお任せ」が多数を占めていた。

しかしながら、最近は主体的な姿勢で、事業継続や従業員の安全確保に積極的な企業が増えてきたと感じる。従業員の安全を第一に、その上で事業を止めない工夫、早期復旧に対する工夫を真剣に持ちかけられ、地震工学、地盤工学、構造力学などの用語を交えて、議論する機会も増えてきた。

これは企業側が自らの意思決定に責任を持ち、積極的に発信をしていこうとする姿勢の表れではないかと感じている。

また、最新の知見や技術を積極的に取り込もうとする姿勢も見え始めている。この10年における電子機器や通信技術の発達は目覚ましく、大規模データを高速に処理し、世界中でシェアできるようになった。高度な数学的手法を防災分野に取り入れるなど、これまで計算時間に苦しんでいた手法も積極的に採用されるようになってきた。

被災評価手法が進化 災害教育にVR技術活用

少し事例を紹介したい。耐震診断という業務を請け負うことがあるが、それだけにとどまらず、工場全体をコンピュータでモデル化し、地震シミュレーションによる損傷箇所の特定と、コストと工期に見合った最良の補強案を議論している。

センサーを建物に設置し、地震直後の損傷を即時に評価する仕組みも進歩している。発災後に建物に入り、三次元(3D)スキャナーで撮影した3D データをクラウドにアップし遠隔にある対策本部から被災状況をウェブ上で確認し、早期復旧の検討に役立てている。

また、災害教育に仮想現実(VR)技術も取り入れられるようになってきた。河川近くの工場や河川工事に従事する企業は、最新の数学的手法を取り入れた水位予測により、15時間先の水位を把握し、従業員の避難や設備の保全に役立てている。これらの取り組みはオープンイノベーションに基づく企業連携を実現しており、これも最近の流れである。

大地が大陸プレートで成り立ち、大気が地球を覆っている限り、地震や気象災害は避けては通れない。自然に向き合い、メカニズムを知り、最新の技術と知見を生かし、その時代に合った防災対策を講じることが重要であると考える。

 

 

構造計画研究所 専務執行役解析グループ管掌 兼 管理本部長 荒木 秀朗

 

出典

[広告特集]9月1日は防災の日~東日本大震災から10年~ 『防災における「技術」と「意識」の変化』、日刊工業新聞、2021-09-01、p.25.

災害リスクコンサルティングサービス

コラムやセミナーの
最新情報をお届けする
メルマガも配信中

メルマガ申込