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防災・BCP担当者としての矜持(きょうじ) ~人を守り、会社を守り、地域を守る~ | KKEの 企業防災・BCPコラム

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防災・BCP担当者としての矜持(きょうじ)
~人を守り、会社を守り、地域を守る~

春は異動・交代の季節です。責任者も、担当者も、どのような業務や部門についても、人事異動などにより人は交代します。今回は、防災・BCP担当者として着任された新任の方を念頭に、防災・BCPに関するお仕事の意義・やりがいについて、お話したいと思います。

「人を守る」仕事としての防災対策

防災対策・防災活動の目的は、人と施設設備の安全や被害軽減を図ることが目的です。特に人(従業員などの関係者)の安全に対しては、労働災害の防止同様、法的には「安全配慮義務の履行」に関連する様々な実務課題の解決を求められることになります。

ここで着目頂きたいのは、事業継続を真に支える要素は人であり、人を守ること自体も大切ですが、そのことによって組織の事業継続も図られるという関係にある点です。特に、組織・職場のキィパーソンが被災し参集できない状況をイメージして頂ければ、人という重要資源を守ることの重要性が、事業継続の視点からもご理解いただけると思います。

また同時に組織全体に周知すべきは、従業員本人だけではなく、ご家族も含めて被災しないようにすることが求められるという点です。ご家族が被災した場合には、従業員本人は被災していなくとも、家族をケアするために参集は困難になります。したがって、従業員向けに、個人・家庭を守るための防災対策を教育したり、家族間の安否確認方法を決めておくように促すことも重要です。会社としては、従業員個人に対して強制はできないものの、積極的に教育機会を設けることが求められます。

事業継続力を高めて「会社を守る」

そして、防災活動の質を高めていくことが、会社としての事業継続の強化につながっていきます。

事業継続の問題は、具体的には2つの性質があります。1つは、会社としての最低限の機能をいかにして維持するかの問題です。具体的には、災害時であっても従業員の給与をいかに支払い続けるか、資金繰りの問題や決済の手続きを支障なく継続していくためには何が必要か、といった組織としての重要かつ最低限の対応のことで、これは管理系の部門が担うことになります。

もう1つは、会社の利益を生み出す文字通り事業=ビジネスをどのように復旧するか、中断させないかという問題です。もちろん、被害をゼロにすることは非常に困難ですので、被害軽減策と早期復旧策の組み合わせを検討したり、万が一長期間にわたって特定の拠点が機能停止するリスクに備え、他の拠点におけるバックアップ体制を整備するということ(代替戦略)なども重要です。

このような体制・態勢を作っていくことが事業継続のお仕事です。

人を守り、会社を守り、そして「地域を守る」

さらに、このような会社の防災・事業継続の取組みは、地域経済にとっても大きな意義がある点も忘れないでいただきたいと思います。

会社は「企業市民」として、地域社会の構成メンバーの一員ですが、平時は雇用の維持として地域を支え、有事は住民に対して可能な範囲で支援活動をするなど、平時も有事も一定の地域貢献をすることが社会的責任として求められています。

よって、会社で防災・BCPのお仕事に正面から取組み、一定の成果を出し、自社の事業継続能力を高めておくことは、そのまま地域に安定的な雇用をもたらし、税収をもたらし、地域貢献に直結する仕事になっているのです。

このように、皆さんが取り組む防災・BCPに関するお仕事の意義は大きく、まさに経営そのものと言っても過言ではありません。そして、今日申し上げた3つの視点が、実はBCPの冒頭に謳っている「BCPの基本方針」になっているのです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。     

 

以上

森総合研究所 代表・首席コンサルタント 森 健

 

 

 
           
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