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マイ・タイムラインを利用して家族で防災を考えてみた | KKEの 企業防災・BCPコラム

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マイ・タイムラインを利用して家族で防災を考えてみた

最近よく「タイムライン」という言葉を聞くと思います。今回は、企業防災から少し趣を変え、マイ・タイムラインを利用して家族で防災を考えてみた、という体験を簡単にご紹介します。

あのとき避難しなかった

私の家族は4人家族(妻と息子2人)。自宅は神奈川県川崎市にあります。2019年10月の東日本台風の時、次男はまだ1歳でした。風が強くなる前に、避難所へ行くか、自宅に留まるか、自分が決断せねばと思っていました。

ところが、
「オムツはどれだけ必要だろう。家にはたくさんあるけど」
「泣き声が迷惑になりそう‥」
など、頭に浮かぶのは避難をしない理由ばかり。結局、自宅の3階に閉じこもる事にしました。

結果的に被害はありませんでしたが、それは結果論。きちんとした判断の元、自宅に残った訳ではなく、無意識に「移動しない」選択をしたという意味で、正常性バイアスがかかっていたと思います。

マイ・タイムラインをやってみる

あれから2年。長男も小学生になり状況も変化したため、マイ・タイムラインの枠組みを利用して、あらためて家族と基本的なところを整理してみました。

「マイ・タイムライン」とは、ある程度事前に予測が出来る風水害に対して、災害に備えた行動を一人ひとりがあらかじめ決めたものを指します。

ベースにしたのは東京都の「手書きで作るマイ・タイムライン1)」。東京都は作成のためのガイドラインや「行動シール」などツールが充実しているのでおすすめです。YouTube上に解説動画もあります。

さて、マイ・タイムラインの作成手順は以下の通りです。
①避難する場所を考える
②避難情報や気象情報から避難のタイミングを考える
③避難準備の開始・避難開始・避難完了のシールを貼る
④避難開始までの行動を考えてシールを貼る
⑤地域に対しての行動を考える

当日のアジェンダ(左)とウォーミングアップ(右)

まずは息子たちと一緒に神奈川県川崎市の洪水ハザードマップから自宅の水害リスクを確認します。

我が家のリスクは?

洪水ハザードマップから以下のことが読み取れました。
・自宅は家屋倒壊等氾濫想定区域ではない
・土砂災害警戒区域ではない
・自宅周辺の想定浸水深は0.5-3mである
・浸水継続時間は12時間未満である
・指定避難所である長男の小学校までの経路にアンダーパスは無い
(普段通っているのでマップを見るまでもないですが)

ここで長男とちょっとしたやり取りを行いました。
・私 「3mだと2階の床くらいだね」
長男「3階のベランダから釣りが出来るね!」
・私 「浸水時間は12時間未満だって。でも同じ深さでも4週間かかる場所もあるね」
長男「次の日学校行けちゃうね!」

何とも柔らかい発想だなぁと思いつつ、結構重要なポイントです。想定浸水深と継続時間を考えると、少なくとも浸水被害に対しては自宅3階への垂直避難が有効そうです。そこで我が家では、台風×浸水に対しては在宅避難を基本とし、それを前提にあらためて備蓄品の見直し・補充を行いました。
※実際には、予想される風の強さによっては小学校への避難も考える必要があり、タイムライン上でも判断するタスクを設定することにしました。

台風時のマイ・タイムライン(暫定版)(筆者作成)

こちらがひとまず作ってみた台風時のマイ・タイムラインです。手書き版を印刷して書き込もうと思っていましたがそう上手くは運ばず。後からオンラインで入力2)して出力しました(これもまた便利です)。まだとっかかりで作ったレベルですが、何より家族と一緒に災害について考えられた事が良かったです。本当は避難情報や気象情報など情報源についても家族で共有したかったのですがまたの機会にしたいと思います。

地震の時は?避難所へ行ってみた

今回、台風時には在宅避難を基本とすることにしましたが、地震の時などを考えて、避難経路や避難時間の確認を行いました。自宅→次男の保育園→長男が通う小学校(避難所)という経路です。

危険なブロック塀には近づかない事や、家が密集している細い裏道は使わない事などを話しながらの道中でしたが、長男曰く「学校で習ったから知ってるよ!」とのこと。しっかり覚えていて頼もしい限りです。

 

塀の近くは危ないね(左) 避難所へ到着。ご褒美シールゲット!(右)

やってみて

私の頭では考えていた事ではありましたが、今回マイ・タイムラインというツールを使って、家族で一緒に考え、家族の決め事として共有出来た事は大きな一歩でした。決めて終わりではなく、今後も定期的に家族で考えを深める機会を作り、災害時の対応力を高めて行きたいと思います。

また、実際に行動を起こすには様々な情報を自ら入手し判断していく必要があります。

以前、当コラムでも紹介している気象庁のキキクルや国交省の水害リスクラインの予測情報をはじめ、最近ではスマートフォンアプリ「Yahoo防災!」からSNSに投稿された災害情報をリアルタイムに見ることも出来るようになりました3)

今後も情報の増加・複雑化は進むものと思います。自分の中に判断基準を持ち、自ら必要な情報を取りに行く姿勢が求められると感じます。

2022年2月
構造計画研究所 企業防災チーム 西條裕介

参考文献

1) 東京都防災ホームページ「手書きで作るマイ・タイムライン」https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/mytimeline/1006417.html
2)東京都防災ホームページ「作ろう!マイ・タイムライン」https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/mytimeline/try/index.html
3) Yahoo!Japanプレスリリース(2022.01.11)https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2022/01/11a/

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