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【BCP実践講座③】 阪神・淡路大震災の教訓~初動対応を中心に~

阪神・淡路大震災(1995年1月17日発生した「兵庫県南部地震」)から学ぶべき教訓は未だに数多くあります。今回は、最近の地震発生状況を鑑みて、初動対応と危機管理体制(災害対策本部体制)について、ごく一部ですが、自治体事例を参考にしつつ考えてみたいと思います。

初動対応における教訓

今回の震災は、交通機関が途絶し正確な情報伝達ができなかったことなどに加え、職員の多くが被災したため、初動時に要員の確保がほとんどできなかった。このため情報収集力不足をきたす原因となるとともに、広報活動の実施も困難を極めることとなった。したがって、実態に則した動員計画を策定しておくことが重要である。

(『阪神・淡路大震災調査報告書』平成7年兵庫県南部地震東京都調査団)

自治体においても企業においても、災害発生時の初動対応を迅速・的確に進めることは非常に重要です。

しかし、突然の圧倒的な状況の変化(「危機」の定義例)の典型である地震災害は、文字通り不意に襲ってきます。阪神・淡路大震災の場合は冬の早朝に突然発災しました。今でこそオンライン会議が普及していますが、当時はまだまだ電話・FAX活用の時代で、情報不足の中、初動対応は困難を極めた様子が伺えます。

災害対策本部体制について

・兵庫県の災害対策本部の設置に際しての問題点としては次のとおり。

①災害対策本部を5階に設置し、その所管課である消防防災課が12階にあるといった状況は避けるべきである。両者は隣接していなければならない。

②災害対策本部設置予定箇所は、耐震性に優れていることはもちろんであるが、通信機器類についてしっかりとした装備を持つべきである。防災行政無線と通常の加入電話だけでは、必ずしも十分とはいえない。「携帯電話」、「自動車電話」、通常の無線機などの装備も検討すべきである。また、既存の機器類についても、しっかりと固定するなど、耐震対策を考える必要がある。

③災害関連部署や災害対策本部設置予定箇所は、庁舎玄関から徒歩で何度往復しても大きな支障がでない程度の階に設置すべきである。エレベータが止まると、庁舎からの出入りに一苦労しなければならないような上層階に設置することは避けた方が良い。

④今回の電話の状況を考えると、地域内のある地点への電話連絡は、いったん地域外に連絡をして、そこからの目的の地域内地点に連絡を取ってもらうような方法も考える必要がある。

⑤県庁近くに居住地がある職員は少ないので、参集が困難になったという側面もある。したがって庁舎近くに少なくとも防災担当職員のみでも居住できるよう宿舎・官舎を用意する、あるいは、宿直体制を工夫するなどといった検討をしておく必要がある。

(『阪神・淡路大震災調査報告書』平成7年兵庫県南部地震東京都調査団)

初動対応の鍵を握る危機管理体制(災害対策本部体制)の構築についても、様々な課題が顕在化してしまいました。「災害対策本部を設置するスペースは、防災担当部署の隣であるべきだ」という、今ではいわば当然のことのように考えられていることについても、当時はまだその認識は希薄だったと考えられます。

この点については、企業各社も注意が必要です。企業各社において、そもそも「災害対策本部」を設置する頻度は、自治体のそれに比して非常に低いわけですが、それ故に「基本的な点検箇所」が見落とされている可能性もあります。

企業においても災害対策本部を設置する場所は、例えば本社であれば、役員層の執務スペースの近くに強引に設置するのではなく、実務を優先して事務局である総務部やリスク管理室の動きやすい場所を選ぶべきです。工場の場合も同様です。工場の総務・安全を担う部署にとって「使い勝手」が良い会議室とするのがベストでしょう。

災害対策本部設置予定場所の「耐震性確保」の問題についてですが、現在では耐震性の確保のみではなく、詳細なシミュレーションをした上で「事業・業務の継続」に支障がないか否かの点検まで行われるような時代になりました。

歴史・事例に学ぶ危機管理

阪神・淡路大震災の教訓については、内閣府を中心に様々な機関・団体が資料としてこれを纏めています。開示されている情報も多く、ぜひ皆さんもお時間のあるときにご覧いただくと参考になると思います。

危機管理という分野は「事例研究」をベースに発展してきました。過去の事例や、さらに歴史的な出来事をよく評価・分析すると、将来に活きる教訓が汲み取れるように感じています。1月というタイミングで、阪神・淡路大震災関する様々な資料に触れることは、皆さんの危機管理能力向上にプラスになるのではと思います。

森総合研究所代表・首席コンサルタント 森 健

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