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【BCP基礎講座①】 BCP策定・見直しのスタートライン | KKEの 企業防災・BCPコラム

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【BCP基礎講座①】 BCP策定・見直しのスタートライン

本稿は「6月号」ですが、執筆している今日この日は、3回目の緊急事態宣言の初日です。変異株の問題は大きな流行の波「第4波」となり国内に甚大な影響を与えています。その「波高」はこれまでより高くなると筆者は推定しており、様々な思いを抱え、最初の緊急事態宣言から現在までを振り返りつつ本稿を執筆しています。

平時の備えがいかに重要で、かつ初動(最初の対応)に全力であたりリスクを最小化することがいかに重要かということが言えると思います。これはパンデミック対応に限らず、防災・BCPにおいても、またメディア対応(危機管理広報)においても「最初が肝心」という点は共通しているのではないでしょうか。

本稿ではBCPに関するこの「最初」つまり「スタートライン」のお話をさせていただこうと思います。

1:既にBCPを策定している場合(BCPの見直し)

既にBCPを策定されている場合(BCPの見直しを実施する場合)は、まず現行BCPの弱点がどこにあるのかを正確に把握する必要があります。この点、筆者が重要視している視点は次のとおりです。

 

(視点1)いつ策定したか?策定後どの程度更新されているか?

まず現行のBCPがいつ策定されたかについて注目していただきたいと思います。大災害直後に慌てて短期間で策定したのか、あるいは経営の意思決定により一定の期間と手間をかけて丁寧に策定したものであるのか。 また同時に、策定後どの程度更新されているかも重要です。単純に定期人事異動ごとに異動情報を加味した更新しかしていないのか、近年の気候変動を踏まえた対策を加味するなど経営環境の変化を捉えた改善・改訂がなされているかという点もチェックする必要があります。

 

(視点2)誰が策定したか?どのような体制で策定したか

次に、BCPを誰が、どのような体制で策定したかも重要なチェックポイントです。総務部やリスク管理室など自社のBCP担当部門のみで策定したのか、あるいは全社的なプロジェクト・チームを編成して策定したのか。また外部の専門家の関与はあったのか、どのような専門家だったのか(スキル・ノウハウの有無)、策定自体を包括的に外部に委託したのか、あるいはアドバイザーとして起用し主導権は社内メンバーが掌握したのかなど。

これは次の(視点3)にも関係しますが、自社メンバーが策定の主体となっていない場合に多く見られるのは、外部コンサルが社内の方にヒアリングした結果を単に足し算で(加工せずに)文書化して計画にしていたり、単に様式・テンプレートを埋めるようなBCPとなっていて自社の本質的な課題・リスクを捉えていなかったり、ひどい場合は公的ガイドラインのコピーばかりで資料集のようなBCPになってしまっていたり、という状況を未だによく拝見しますので、注意が必要です。

 

(視点3)自社独自の内容がどの程度決められているか?

現行の自社BCPの弱点として致命的であるのは、「自社独自の内容が希薄である」というものです。資料集的なBCPを策定することははっきり申しあげて無意味です。  そもそもBCPは巨大災害等が発生した場合に、発災後にどのように対応し、そのためにどのような事前対策(準備)が必要かという点について、経営判断がしやすいように自社のリスクを整理していく活動にほかならないので、そもそも資料集的BCPでは意味がありません。もしそのような情報を社内に共有する必要があるのであれば「内閣府のホームページを見てください」の一言で終わるのです。  しかし現実の多くのBCPは資料集と化しています。さらに驚きなのは、同じような記載・記述の繰り返しになっているBCPが非常に多いという点です。部門別のBCPを相互に比較すると、例えば概ね8割の内容が共通していた(省略可能だった)という計画も実際に存在しました。ページ数が意図的に増やされていたのかもしれません。

既にBCPを策定済みの場合は、上記の3視点を参考にして頂き、計画のどこに本質的な課題があるかを押さえた上で、見直し作業に入ることをおすすめします。。

2:BCPをこれから策定する場合

次にこれからBCPを策定する場合ですが、筆者は最も重要なポイントは「策定体制」にあると考えています。

BCPは全社的な自社グループ全体での取組みです。従って策定メンバーは本来、管理部門、事業部門、各拠点、各グループ会社からの選抜メンバーである必要があります。もちろん自社の状況により必ずしもオールスターキャストでなくても結構ですが、その場合でもできる限り各役割からキィ・パーソンには参画してもらうか、参画が難しい場合は、常に情報共有しコメントをもらい計画に反映せるなどの工夫が必要です。

外部の専門家の起用については、包括委託はせずに、アドバイザーとして起用すべきであると思います。特に専門家は家庭教師と同じで「個々に異なる」ので、当該専門家がどのようなキャリアを積み今に至っているかの情報を提供させ、会社のネームバリューに惑わされず、当該専門家の実務能力・実践能力の有無を論理的に判定して起用すべきと思います。

3:委員会体制の構築・再構築~まずは体制整備から~

BCPの見直しや策定を行う場合、その要諦はどのような体制で取り組むかにあります。具体的にはBCP委員会などの委員会組織を、どのようなメンバー構成で、どの程度の頻度で開催して実務を進めていくかが最重要のポイントになります。

見直し後・策定後にはこの委員会のメンバーが中心となって、自社内へのBCPの浸透活動を行っていくことをイメージしながら、オールスターキャストに近いメンバーで、かつ機動的な委員会開催が可能な形で人選することがとても重要なのです。

 

森総合研究所代表・首席コンサルタント 森 健

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