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冬に発生する直下型地震への対応~気候、タイミングによる初動の変化~ | KKEの 企業防災・BCPコラム

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冬に発生する直下型地震への対応
~気候、タイミングによる初動の変化~

今回も、防災・BCP・リスク管理の専門家の森健さんによる連載記事をお届けします。

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様々な災害や危機を契機に「防災対策やBCPの強化」が叫ばれるようになって、かなりの年数が経過しました。

この間、各社の対策は一定の進捗を見たその一方で、各社独自の防災・BCPに関する課題は複雑化・潜在化し、一見して把握しにくいようになっています。

これは筆者の印象ですが、かつては目次を見ただけで「このBCPは機能しない」と即断できることが多くありました。しかし現在の傾向は、表面的には防災対策も事業継続への備えも十分出来ているように見えるのに、実は実効性に関して大きなボトルネックを抱えているというケースが激増していると感じています(しかも関係者がこれに誰も気づいていない状況です)。

野球で言えば「変化球」に対応できない状態

例えば、自社の拠点付近で直下型地震が発生することを想定した防災対策・事業継続対策について考えてみましょう。

最近の日本は「四季」がなくなり、夏と冬の「二季」になってしまったとよく言われます。各種対策には、本来季節・発生時期への配慮を盛り込んでおく必要がありますが、これが欠けているケースも未だに散見されます。

真夏に地震が発生し、一旦建屋外に避難はしたものの、余震が継続する中で建屋の中には入れない、でも外に居たら熱中症になってしまうという状況を想定した各種備えができているでしょうか。あるいは真冬に発生した際の避難行動について、貴重品や防寒着を即座に持ち出しやすいように平時から準備をしているでしょうか。自拠点の発電能力なども考慮し、季節要因を念頭に置いた対策案の拡充を検討しておくことが必要です。

計画・制度の充実で全てはカバーできない

季節要因だけではなく、夜間・休日に発災した場合、主要幹部が合宿で遠隔地(例えば、風光明媚な保養所など)にいるときに地震が起きたらどうするか、能登半島地震のように元日に起きたら・・・。基本的にはある程度しっかり想定した上で、決めたり備えたりできることは、出来る限り準備をしておきましょう。

一方で、住民避難誘導に関する情報体系のように、定期的に改善がなされてはいるものの「キリがない」状態に陥ることも実務ではよくあることです。細かく決めすぎてしまうことで、応用がきかなくなってしまう面もあります。

わが国では、事件や事故など様々な危機が発生した場合、制度とか計画の不備が原因だという結論で、なぜか皆納得してしまい、また制度やルールを改定し、その後同じような危機がなぜか起きる・・・という流れが多く見られます。

正しいインプット(教育)により、課題が洗い出される

そもそも計画や制度やルールには「限界」があるという点に着目して、事前対策を進めるという視点も重要です。

組織を動かすのは「人」です。経営層、管理職層、全従業員、各種取引先・委託先など、対象によりインプットすべき情報やノウハウには差異はありますが、共通して大切な点は「自ら考え判断する力を強化する」ということです。

一人ひとりの「人」が、防災・BCPに関する正しい知識(特に防災とBCPの類似点と相違点)を学んだ上で、それぞれの立場・視点で日々課題・リスクを洗い出すことができるように組織を育てていくことが、防災・BCPの維持管理の本質です。

防災に関する様々な知識は豊富にあり、マニュアル策定においても広範なリスクへの記述があって「対策は完璧だ」と感じてしまうような場合であっても、事業継続の要素がスコーンと欠けていて、自社の財務インパクト極小化(被害の最小化)の視点からは問題のあるBCPは未だに多い点に注意が必要です。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

以上

森総合研究所 代表・首席コンサルタント 森 健

 

 

 
           
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